日帰り手術
当院では、白内障の手術を日帰りにて行います。手術療法は、白内障の患者様の中でも日常生活に支障をきたすほど症状が進行している場合に検討されます。その内容は、白内障によって濁ってしまった水晶体を超音波によって砕いて取り除き、そこに水晶体の代わりとなる人工のレンズ(眼内レンズ)を挿入していくというものです。
白内障の日帰り手術が可能とされる方
- 内科的に大きな問題はなく、手術を受けても体に影響はない
- 通院が可能な方(術後の経過を診察するために、定期的な通院が必要)
- 目に他の重い合併症(角膜混濁・重度の緑内障や糖尿病網膜症など)がない
- 術中・術後の諸注意がきちんと守れる方
- など
手術内容について
- 先でも触れましたが、現在の白内障手術は日帰り手術が主流となっています。その中でも手術方法はいくつかあるわけですが、なかでも一般的とされているのが水晶体乳化吸引術で、当院もこの手術療法を採用しています。
- 同療法では、まず点眼もしくは注射による局所麻酔を行います。そして角膜(眼球の白目の部分)を2mmほど切開し、そこに超音波乳化吸引装置を挿入していきます。そして水晶体の核の部分を超音波で破砕しますが、前嚢の一部と後嚢は残していきます。なお破砕した核片は、同装置が吸引します。そして水晶体の代わりとなる眼内(人工)レンズを挿入したら手術は終了です。手術時間は平均で20分ほどです。
- なお手術直後は、目の充血、目の中の異物感、目やにが多い、目がチクチク痛むなどの症状が出るようになりますが、多くは1~2週間で解消されるようになります。また眼内レンズを入れた直後は、ピントを合わせるのに不慣れな状態が続くこともあるので、手術後の症状が落ち着く2週間ほど経過してから眼鏡などを使用して調整することもあります。
眼内レンズについて
- 前述の通り、手術の際に水晶体の代わりとなる眼内レンズ(直径6mm程度、後嚢の部分に固定しやすいループが付いている)を挿入するわけですが、手術を行う前にあらかじめどの種類の眼内レンズを挿入するかを決めておく必要があります。その種類とは、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズのどちらかですが、当院はどちらのレンズにも対応します。
- そもそも人間の眼というのは、近くでも遠くでもピント(焦点)が合うしくみになっていますが、単焦点眼内レンズの場合は、近くか遠くどちらか一方の距離しか焦点が合いません。そのため、ピントが合わない距離については近視用メガネや老眼鏡を使用するなどして矯正するようになります。つまり手術後もある程度の不便さは感じるようになります。ただこの場合は、保険が適用されますので、経済的負担は少なくなります。
- また多焦点眼内レンズの方は、人間の目と同じく、近くでも遠くでも焦点(ピント)が合わせられるようになります。そのため眼鏡などでの視力矯正をする機会はぐんと減ります。ただレンズの構造上、常に近くと遠くに焦点が合っている状態になるので、その際は脳が(ピントの)合っている方の映像を選択するわけですが、これに慣れるまでに違和感が生じることがあります。また、薄暗い場所や夜間にライト等を見ると、光の周辺に輪がかかって見える、あるいは眩しさを感じたりすることがあるため(ハロー・グレア現象)、夜間の車の運転などは不向きです。このほか、多焦点眼内レンズは、健康保険が適用されませんので、全額自己負担となります。